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素朴で豊かな三条の家​

  • 執筆者の写真: オブデザイン
    オブデザイン
  • 5月27日
  • 読了時間: 2分


コンセプトと立地

新潟県三条市の中心部からワンブロック入った、新規開発による閑静な住宅地に位置する本プロジェクトは、喧騒から離れた穏やかな暮らしを提案する。素朴さと温もりを基調に、素材の持つ自然な表情を活かした住まいを追求。周辺環境との調和を図りつつ、住む人に静かで心地よい日常を提供することを目指した。


空間構成と素材

空間に足を踏み入れると、木の温かみとその繊細な表情が迎え入れる。内装には無垢材やマホガニー合板を採用し、素朴でありながら深みのある質感を空間全体に与える。これらの素材は、時間とともに味わいを増し、住まい手の暮らしに寄り添う。また、メインの窓には吉村障子を採用、光を柔らかく透過させ、室内に穏やかな陰影を生み出す。吉村障子は、建築家・吉村順三が日本の伝統的な障子を現代的に再解釈したデザインで、細い木枠と和紙の繊細なバランスが特徴。無駄を削ぎ落としたシンプルな構造が空間に緊張感を与える。

天井は構造梁を表しとし、等間隔に配置するよう構造計画を慎重に検討。梁のリズミカルな並びが空間に秩序と力強さを与え、木造建築の骨格を視覚的に際立たせる。この表し梁は、空間に開放感をもたらすと同時に、素材そのものの美しさを強調する。 



階段と多機能な空間

階段は、ササラと踏板を合板で構成し、シンプルかつ軽やかなデザインを考案。踊り場は広く確保し、単なる移動空間を超えた多機能な場として設計した。本を読んだり、寝転んだり、家族がくつろげるコージーな空間として、上下階をつなぐ中間領域に温もりと居心地の良さを創出。階段周辺の光と素材感が、この場所を住まいの心臓部として際立たせる。


建築的意図

本住宅は、素朴な素材と丁寧なディテールを通じて、暮らしの中に静けさと豊かさをもたらすことを目指した。三条の穏やかな環境と調和し、木の表情や光の変化が日常に深みを加える。吉村障子の繊細な光、合板の温かみ、梁の力強いリズム、そして多機能な階段踊り場が織りなす空間は、住む人に「ここだけ」の居場所を提供する。シンプルながらも記憶に残る暮らしの舞台となることを願う。

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